Throwing Shade名義でも多彩な音楽で人々を魅了してきたロンドン出身アーティストNabihah Iqbalソロ最新作。
キュレーター、放送作家、講師という様々な肩書きを持ち、更にはアート方面でもドイツの写真家Wolfgang Tillmansとテートモダンでコラボしたり、ヨーロッパ最大の文化施設であるロンドンのバービカンで行われたバスキア大回顧展でグループパフォーマンスに参加するなどあらゆる分野で活躍し、2023年にはイギリス最大の複合芸術フェスティバルであるブライトン・フェスティバルのゲスト・ディレクターに抜擢されている彼女。
制作に2年を費やしたという今作、スタジオ機材の盗難や脳出血を患った祖父のいるパキスタンへの帰郷などの出来事を胸にか、非常にパーソナルで生々しく音像が描かれている。もとより彼女の表現の根底である憂鬱な感覚は今までのように幻想を体現するが、親密さという点、そして時折顕著に差し込む光がリアルさと癒しを掻き立てる。
アンビエントやドリーム・ポップ、ポスト・パンクやエレクトロニックなダンスを独自に包括する作品、全10曲。